消防ポンプの運用について
◆ 圧力設定って難しい?!
ポンプ車の操作要領については、これまで 「ポンプ車操作要領」 や 「可搬式ポンプ操作要領」 で説明してきました。今回は、実際に消火に必要な放水量を得るための圧力設定について、説明したいと思います。
ポンプの圧力を設定するには、下図のような圧力を考える必要があります。
◆ 3つの圧力
① ノズル圧力(Pn):筒先ノズルから放水される時の圧力。
② ホースの損失圧力(Fl):ホースを流れる流体どうしの摩擦、また流体と管壁との摩擦のために圧力エネルギーが熱エネルギーに変化して、圧力減少として現れます。
③ 高さ(背圧)(H):高さによる損失圧力。
機関員から筒先が見えていれば、ある程度感覚でスロットル操作することも可能ですが、部署する位置や地形によっては全く見えない場合もあるので、予備知識無しに操作は出来ません。
消防士は「送水基準板」という ホースの放水量に対する損失圧力とノズル圧力をまとめたグラフ を利用しているそうですが、これが中々読みづらく、計算するのも嫌になってしまいます。(最新車種に搭載されているポンプの操作パネルには、放水量、反動力の他、送水圧力の上限… etc.も設定出来るので「送水基準板」は必要ない? のかも…)株式会社モリタ eモニタ
◆ シミュレーション
現場で取る代表的な放水体形ごとに、条件さえ入力してやれば、「筒先ノズル圧力」や「筒先反動力」、水利元および中継車両の「送水圧力」や「放水量」を求めることが出来ます。
◆ 注意事項
如何でしょうか?
難しい「水力学」や「ポンプの構造」… etc. の所謂お勉強の項目はすっ飛ばしています。取り敢えず現場で必要な項目の「理論値」が求められます。
尚、実際の現場では、ホースの折れや破損による損失、消火栓圧力の変動など、予期せぬ要素が加わります。実際の数値と異なることも十分考えられますので、過信しないようくれぐれもご注意願います。
スマホやタブレット端末でも見ることが出来るので、現場での活用も可能ですが、実際現場でスマホを操作している余裕はありません。 したがって、万が一に備えての机上でのシミュレーションに活用してもらいたいと思います。
◆ 実践
簡易的な計算方法 として、下記の数値を覚えておけば、おおよそ適切なポンプ圧は設定出来るので、頭の隅に置いといて下さい。
■ 背圧とホース交換
~ 林野火災で注意しなければならないこと ~
- 筒先を止めてはいけない
- 根本は「2.0MPa」の耐圧ホースを使用すること!
- 「2.0MPa」の耐圧ホースが無ければ「1.6MPa」の出来るだけ新しいホース
- 背圧を抜くための「分岐金具」を必ず入れること!